皆さんこんにちは。神戸支店の宮島です。
先日、大阪狭山市で耐震補強の工事が終了しました。
H様邸は昭和58年築。
新耐震基準(昭和56年)以降の建物である為、残念ながら自治体の補助制度は対象外でした。
しかしご主人様より「地震の備えをしっかりと」言われていた事から、しっかりと耐震工事を行う事になりました。
リフォーム事例(←文字クリックで事例へ移動)でご紹介している様に、H様邸は今年で築37年になりますが、現行の新築と同じレベルの耐震性を備える事ができました。
※しかも大手企業様より300万円も安く…!
H様邸で出た話では無いのですが、たまーに耐震補強工事と地震保険を同一化されている人がいらっしゃいます。
結論を先に述べますと、二つは全く別物です。
あえて天秤にかけた場合は、補強工事の方が圧倒的にメリットが大きいのですが、耐震工事専門会社の私が言うと逆に営業トークに聞こえてしまいますので、理由を順に書いていきますね。
まず初めに誰でも想像できるのが、以下の二つ。
・耐震工事とは「事前」に補っておく事で被害を確実に減らす
・地震保険は「事後」で金銭的な面を補ってくれる
問題は事前か事後と言う所です。
地震保険について、加入された後は「大きな安心」を得る事ができますが、果たしてその“安心“とはどのくらいの“大きさ“なのか具体的に掘り下げてみましょう。
もしかすると“知り合いのツテ“などで「言われるがまま追加でとりあえず地震保険に入っている」なんて人は一体いくらぐらい出るのかをしっかり見極めされた方が良いかもしれません。
まず初めに地震保険は火災保険の半分までしか加入できません。
火災保険が5000万円であれば地震保険は2500万円ですし、1000万円であれば500万円まで。
地震保険とは被災後における当面の生活を守る事を目的として作られた物であり、建て替えを自己負担無しで出来るほどの費用は当然ながら出ません。
※車でも同じ様に、10年落ちの車が事故で全損しても、ほんの僅かしか保険支払額が出ないのは皆さん存知の通りです。
被害程度の横には必ず“時価額の●%が限度“と書かれれており、築30年を越した時価のお家の場合は、保険適用額はあまり期待できない事になります。
※財務省HPより地震保険→保険金の支払いについて
実際、2年前の大阪北部地震の際、当社では
こちらのお家や↓
こちらのお家↓
でも保険適用のお手伝いは出来ましたが、あくまで修繕費の何割程度しか補填できておりません。
また、災害が起きた際に、上記“お金の面“では貯蓄と併せてある程度算段が付いたとしても、今度は修繕の面でも問題は続きます。
こちらのお家でも紹介していますが、災害地域では必ず “職人不足“ が発生します。
災害は付近一体に発生するので、周りのお家でも同じ被害に合うお家は必ず出てきます。
地元の会社さんとしては、高い利益の出る仕事や、上得意顧客の依頼を優先させるのは責められない事ですし、外から遠征されて来る会社さんでは、もちろん経費が嵩みます。
また足元を見て費用を水増しされる悪徳会社さんも被害地域には押し寄せて来ますので、依頼先の選定にも頭を悩ませなくてはなりません。
工事を待てる程度の被害なら待てばいいだけの話なのですが、逆に待てないレベルなのであれば選定するだけの時間は無いですよね…
上記の事をまとめると
①地震保険はあくまで修繕費の一部や生活費の補填額にしかならない。
②災害時の復旧や修繕における工事は最安値とはいかず、適正価格かどうかも疑わなくてはならない。
③災害発生後から修繕完了までにはかなりの時間がかかる可能性があり、また被害の度合いによって修繕まで避難所生活(コロナ渦の中で三密!)を続けなくてはならないケースがある。
と言う事です。何事も起こってからの対処は費用だけでなく、時間や生活における心労が増えると言う事です。
お客様によって適切な備え方は様々です。
・補強工事を行う
・適切なメンテナンスを行う
・保険に入る
・家具の固定をする
・防災バックを用意(中身を見直す)
・寝る場所を改める
・防災マップを用意しておく
・家族と避難場所を打ち合わせする
パッと思いつくだけでもこれだけ事前準備は可能です。
今回H様邸は、耐震工事を補う事で現行の新築基準まで耐震性が高まりましたので、地震保険は安くなりますし、今回の工事で地震だけでなく台風に対しての備えも加わりました。
私は今回、地震保険が無意味だとお伝えしたいのではなく、お客様によって、費用の面や時間の面でも備え方は少しずつ変わってくる事をお伝えしたいんですね。
現にH様は別の理由で耐震補強工事後も、地震保険に加入し続けてらっしゃいます。
当社の耐震診断では【適切/不適切】を踏まえて、そのお家にとっての【必要/不必要】な事が全て分かる様に行っており、また提供可能な資料もご用意しています。
防災とは、まずお金を使う事ではなく、正しく知る事から始まります。
診断だけなら費用負担はごく僅かので、まずは知る事から始めてみてはいかがでしょうか。