株式会社ナカタの佐竹です。
小柄なうえヤセ型のため、今年の厳冬は骨身に染み渡り厳しいです。
今回は日常でふと思った事を書いていきたいと思います。
我々が耐震診断を行う時に、お家の方はたまにこんな事を口にされます。
「この家は建ってから30年以上経つので、もう建て替え考えないと…」
そこで診断士から、
「実は…」と木造住宅の寿命についてのお話しが始まる事も多いのですが、そもそも住宅の寿命ってそんなに短いものでしょうか?
気になって自分なりに調べてみたのですが、「新築から取り壊し」までの年数は日本では平均30年程度だそうです。
世間の認識がそのまま実数値になっているようです。
しかし、この数値は日本の場合のみに言えることで、例えばフランスでは81年、アメリカで103年、イギリスではなんと141年というデータがあるようです。
これには日本人の「木造住宅は消費財」だととらわれてきた国民性が関係しているようですが、諸外国から比べると日本は新しい住宅ばかりの国だと思われているかもしれません。
もちろん消費財ととらえる事が悪習とは思いませんし、年々住宅の建築技術や建築基準は向上しているのでより良い家に住むというのは地震などの安全性も考えると良い事です。
一番の問題は間違えた認識が世間一般化されていることです。
ほとんどの方はマイホームは生涯に1度きりの買い物と言われているにも関わらず、この短い寿命は矛盾しているようにも思えます。
そこで文頭に書きました「実は…」。そのあとのお話しを聞いたお家の方の反応のほとんどは「驚き」です。
認識と事実の差に、皆さん驚かれます。
木材の寿命は非常に長く、世界最古の木造建築物と言われる「法隆寺」は1300年以上経った今でも強度は落ちていないとされています。一般的な住宅に用いられる木材でも製材されてから100年以上経っても強度が落ちないと研究の結果が出ているようです。
法隆寺は聖徳太子が607年に本尊を造られた世界最古の木造建築群です。伝統的な木造建築の知恵が最先端の建築技術に生かされています。
では何故、寿命は30年と言われるのかというと、ひとつは「使い捨てのライフスタイル」です。
日本では、住宅はそこに住む人のために建てられるもので間取りもその人のために考えられるものという意識があります。自分と家族が住むための家であり、その後に他の誰かが住むということは考えられていません。
ですからメンテナンスというものがあまり重要視されてない傾向にあるようです。大切に手入れをすればいつまででも住める住宅でも天寿を全うせずして取り壊されていくのです。
理由のもうひとつに「建築業界の事情」があります。ハウスメーカーなどはもちろん家を売りたいわけですから、建て替えを勧めます。後々に負担になるメンテナンスの事は住宅の販売時にはほとんど触れられず、売りっ放しの工務店も少なくはないはずです。
そして、多くの方が購入時に住宅ローンを長期で組まれます。住宅は無くなったがローンだけは残っているというのも悲しい話しです。
木材が嫌う湿気対策や白アリ防除など、きちんとした手入れさえすれば、日本の住宅は末永く住むことができます。
もちろん地震大国「日本」に住む以上、その対策は避けて通れない道です。
「いつ来るか分からない地震に怯えて待つよりも、いつ来ても安心できるよう対策を整えておくこと」が皆様の大切な住宅の寿命を延ばすことに繋がりますし、大切に家を残してあげれば、自分の子供や孫といった次世代への最高のプレゼントとなるのではないでしょうか。
その一歩としてまずはきちんとした耐震診断を受けていただければと思います。
■関連記事:
お客様と二人三脚で行う耐震改修工事
木造住宅の耐震診断とお客様のつながり